文責:ナユキスイミングクラブ代表取締役
日本体育協会・日本スイミングクラブ協会・日本水泳連盟公認
水泳上級教師マスター 名雪正彦
子供は大人を小さくしたものではありません 集中力を身につけさせるには? |
私達コーチは子供を指導する時、第一番目に
表題のフレーズについて勉強します。
私もコーチ達にその様に指導します。
子供なりに出来るだろうと、マラソンやジョキング等の
持久型の練習をさせる事が、
心臓や肺がまだまだ、未熟な状態の子供にどんなに無謀か
を
また、腕立て伏せや、腹筋背筋、或いはダンベルなどの、
重負荷ウエートトレーニングをさせると、
まだ、筋力を納める器である身体が備わっていない子供は
内臓や骨格(これから成長するモノ)に大きな負担をかけて、
十分な発育が出来なくなりる事を、
スキャモンの成長曲線を通して勉強します。
この事はコーチが良く知っている事ですから
詳しくは当クラブのコーチにお聞き下さい。
同様に子供は身体と精神のバランスも大人とは大きく異なります。
キーワードは
「もう少しやりたい」 |
です。指導者も、習う本人も、保護者の方も
この余裕が、大切なのです。
山に惹かれ、何かに取り憑つかれたように又行きたくなる。
それは、頂上に立って絶景を見た感動をもう一度と思うからなのか?
それもあのつらさを乗り越えたという達成感や
充実感が忘れられないからなのか?
実社会の複雑さを嫌うからか?
本人にも分からない。
それらが綯い混ぜになるのでしょう。
でも、これで十分、ここで満ちた。
そんな気持ち、心理が頂上にあります。
それが大人の心理です。
子供がもし山登りをしたとしても、殆どの子供は、
・・・・これで十分、ここで満ちた。とは感じないでしょう。
子供が心理的にも、肉体的にも、満ちてしまえば、
それは子供ではないでしょう。
どこでも、どんな状態でも大きく開いている気持ちを持っているから、
子供なのです。
さらに、子供が又山に登ろうと思うとすれば、
あの充実感、あの達成感からではなく
それらを含めた「楽しかった」と言う気持ちからなのです。
「楽しい」「面白い」。これこそが何をやるにしても、
やる時の子供の心理の本質なのです。
大人は居ても立っても居られず複雑なモノを抱え
さまざまな心理に揺られながら、再び山に向かいます。
それとは違い、
子供がもしもう一度山に行く気持ちになるとすれば、
「楽しい」「面白い」を求めてです。
あの急勾配の苦しさと秤にかけても、それよりも更に、
「楽しい」「面白い」が勝っていたからなのでしょう。
よほど面白かった。楽しかった。嬉しかったのです。
「楽しい」「面白い」は、満ちてしまう心理では有りません。
次の「楽しい」「面白い」を求めます。
更に「楽しい」「面白い」は先述したように、
大きく開いている心が感じるモノです。
子供の心を持った大人。そう言う表現があります。
平行線に延びているレールではなく、先に行くほど広がっている。
それも立体的に広々としたモノを醸し出している
大人のイメージがあります。
子供の心の広がり。
「楽しい」「面白い」を感じるには心の余裕が必要です。
「もう少しやりたい」と思わせる為には
身体がくたくたになっている状態では無理でしょう。
子供の場合は「楽しい」「面白い」=「もう少しやりたい」
それが次ぎに繋がるのです。
単純なのです。
その未熟さを分かってあげないと
子供のやり続ける気持ち=モチベーション
は理解出来でしょう。
もう一度確認しましょう。
子供の場合「もう少しやりたい」この気持ちにさせる。
この気持ちを持たせてその日の練習を終わる。
これが重要です。
その様な指導が次のやる気を起こさせ、
その次ぎも、更につぎも、
水泳練習に参加したがる様になるのです。
当クラブは練習に参加すれば自然に
「基本に忠実な、最高のパフォーマンス」が発揮出来る様に、
全てのカリキュラムが整えられていますから、どんどん上達します。
上達する過程で「苦しみに耐えられる強いメンタル」や
「がんばれる気持ち」などを自分のモノにしてゆく事が出来ます。
もう一度表題を確認して、お子さまの状態を観察してみてください。
様々な事が見えてくると思います。
水泳練習は修得までに時間がかかりますが、
その修得期間に付いても同じ事が言えます。
これから先、長い人生を歩む子供にとって、
2ヶ月や3ヶ月早く25M泳げるようになる事が、重要とは思えません。
水泳が楽しく、大人になっても続けたい。
より充実した人生を送る為の一つの手段として水泳が自分にはある。
(当クラブの水泳指導コンセプトの1つです)
せっかく習うモノです。
そのようなスポーツとして定着する事こそ大切ではないでしょうか?
以下は全国のスイミングクラブの統計ですが
ここ数年で、退会する学年は小学校4,5年生が平均的になり、
以前に比べて2年から3年早まっています。
入会する年齢も同じくらい早まって、
かつては時たま見られた3歳児が、いまでは当たり前のようになりました。
つまり幼いために、体力や運動神経の発達の問題もありますが、
理解力の点で、言葉で伝える事があまり出来ず、
修得までに時間がかかってしまうのです。
以前25M修得期間は1年でしたが、
現在スイミングクラブでは20ヶ月が目安になっています。
これでは長すぎる。
出来ればもう少し早くして欲しい。早くならないか?
その様な願いを叶える為に子供を頑張らせる。
頑張りながらの練習であっても前述のように
「水泳が楽しく、大人になっても続けたい」
「より充実した人生を送る為の一つの手段として水泳が自分にはある」
という様になってくれるので有れば全く問題がありません。
当クラブに通ってくる子供の中には半年で25m、
クロールも背泳ぎも泳いでしまう子供もいます。
素晴らしい事です。
その様な子供もいる半面、なかなか上達しない子供もいます。
でもその子供達が「水泳大好き」であり、
やがて水泳が「より充実した人生を送る為の一つの手段」になれば、
それは本当に素晴らしい事です。
基本に忠実な水泳が身につき楽しく泳げるようになれば、
修得期間はさほど問題にすることはないのです。
当クラブのコンセプトの1つに、
《競いあって勝てなくとも、その人の持っている素質と練習量により 「自分のパフォーマンスが最高に発揮出来る水泳」を身につける》 |
がありますが、そうなれば、素晴らしいと思います。
■問題なのは、もう少し修得期間が早くならないか?
その様な願いを叶える為に頑張らせて練習した。
2年かかるとい言われたが、1年で25Mをマスターした。
しかし本人は
「こんなに苦しいモノ、辛いモノは、もう結構、もういい」
となってしまう事です。
それは、40数年も前の事になりますが、
東京オリンピックで惨敗した後、私達がスイミングクラブを作り
「水泳日本」を立て直すためエージグループを指導して
10数年が経過した時、感じた事と同じです。
その様な指導をしたために、多くの才能有る子供達が水泳から遠ざかり、
その後水泳は長く低迷したのです。
次世代が育たないのですから長く世界から遅れてしまったは
、当然の帰結だったのです。
「こんなに苦しいモノ、辛いモノは、もう結構、もういい」
となってしまえば、
そこから遠ざかってしまいます。
水泳練習で集中力を身につける |
1回1回の練習時間にとっても同じ事が言えます。 長い間机に向かわせれば成績が上がるモノではありません。 その事をやっていると何も眼中に入らなかった。 |
水泳上達の秘訣 |
難しく考える事はないのです。
「子供の集中は興味がある事に対しては驚くばかりです」
と先程述べました。
つまり、
水泳を興味のある事にする。それこそが水泳上達の秘訣なのです。
子供の特性を思い出してください。
集中力をどう付けるかを思ってください。
水泳指導が楽しく思える。もうすこしやりたい。
そんな余裕を残して次ぎに繋げると、
次の水泳の日が待ち遠しくてたまらなくなります。
子供の特性から、間違いなく次の練習の時、
水泳に心も身体も集中します。
水泳はどんどんうまくなります。
うまくなると、ますます水泳が好きになる。
好循環が生まれます。集中力も高まります。
■逆だったらどうでしょうか?
その日の練習を考えてください。
練習が始まった最初の内は、楽しんでいた、
しかし時間とともに興味は「今日の夕食は?」とか
「あのゲームの続きは・・・?」となり集中が切れてきた。
水泳練習が寒かった事もあるかも知れません。
ストリームラインがうまくできなかったこともあります、
呼吸が苦しかったのかも知れません。
時間はなかなか過ぎません。
やっと終わった練習には「もうすこしやりたい」気持ちは湧きません。
これは次ぎに繋がる練習ではありません。
ここで重要な点は
|
です。
どんな子供でも、勿論大人でも、水は大好きなのです。
それは太古の昔、人が海から来たからかも知れません。
お母さんのお腹の中、羊水に包まれて赤ちゃんになる
過程を経るからかも知れません。
色々な説があります。
いずれにしても、人と水とは切り離せないのです。
本能と言っても良いのです。人は水と友達なのです。
ですから、だれでもが練習のはじめは楽しんでいるのです。
(水に対する特別の恐怖心を持っている子供や大人もいますし、
その原因もハッキリしています。
対処方法も確立されています。がここでは触れません)
時間とともに、
ここが大切なのです。
時間と伴に多くの人(子供も大人も)興味が薄れて行きます。
コーチ力や、或いは魅力有るプログラムがそうなるのを延ばします。
しかし限界があるのです。
私(当クラブ代表、日本体育協会公認上級水泳教師マスター:名雪正彦)は
子供の水泳指導に49年間関わってきて
以下のように結論を出しています。
集中力の続く時間は以下よりおおよそ10分間少ないと思ってください。
10分間少ない状態で、水泳指導を切り上げると。
水泳指導により、「集中力」を身につけられるようになると思います。
「集中力」を身につける水泳
先程来説明してきたように、これもまた重要な事です。
集中力が身につくそんな事が出来るのか?
水泳を覚えに行くためにスイミングクラブに通っているのであって、
その他の事に期待しているわけではない。
でも、
人生にとって重要な「集中力」が身につくのなら是非そうして欲しい。
と保護者の方は疑心暗鬼の内にも思うはずです。
まさに 本当に
<水泳を通して、集中力を 身につける事は可能> (スポーツ一般に言えるのですが) |
なのです。
是非、身につけて欲しいと私達コーチも臨んでいます。
それにはお母様、お父様のご理解が必要です。
そこで、練習時間のことです。
園児は30分
小学生は45分
中学生は50分
高校生は1時間
大学生は1時間20分
私はこれを練習限界点と呼んでいます。
「もうすこしやりたい」気持ちにさせるには、
これより早く、「後5分程度早めに」 練習を切り上げ
「水遊び時間を作る」事も大切です。
自由と楽しみは切り離せない関係にあのですから。
この練習限界点はどこかで見た時間ですよね。
そうなのです。学校の授業時間なのです。
「ははあ〜・・・・」と納得する保護者の方も多いと思います。
勿論個人差があります。あくまで目安です。
この時間から、水泳の練習時間を、
クラブとして決める事はなかなか難しいのが実情です。
でも園児に1時間の練習をさせる事は、あまり有意義ではありません。
水泳が得意でない小学生に(苦手な人は尚更です)
1時間の練習は苦痛です。
集中力を養う事や水泳を興味のあるモノにする。
それどころではなく、ますます水泳から遠ざかる事になりかねません。
(当クラブのように、魅力有る、優秀なコーチングスタッフを
そろえていれば、
様々な方法で、次ぎの練習に意欲的をもって参加させる事が出来ます。
しかし練習限界点を見極める必要はあるのです。)
以上のように
身体のことばかりでなく、精神(やる意欲=モチベーション)的にも
「子供は大人を小さくしたものではない」
というフレーズは重要なのです。
お母様、お父様がこの事を踏まえて、お子さまの水泳練習に、
臨んで下さると、きっと良い結果が待っています。
当クラブは
水泳練習は 「コーチと本人そして保護者の方の三者が一つになって、 行わなければいけない」 |
と考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
コーチが水泳だけを提供する気持ちで有れば、 |